結婚

運命的な必然性

僕がクリスティーンと出会ったとき、こういう思いがどっと押し寄せた。僕は超自然的なものを信じる
ほうじゃないが、その類いの運命的な必然性を感じたのはたしかだ。
僕たちは英国のスーパーマーケットのざわめきの中で出くわす可能性もあったのに、このシェファーズ
タウンで一緒にこうしている。そして二年たったいま、相変わらず僕はすごく胸がときめいているんだ。

がっちり固まってもいないし、四○年も一緒にいたみたいな気がする、というのとは全然ちがう。いまも
なお、つねに新しいままだ。
すでに長く一緒にいたんだったらよかったのに、と思う部分はある。つまり、ふたりの子供を作ること
ができていたらな、と。彼女は子供を生みたいと思っていたにちがいないけど、生まなかった。彼女なら、
すばらしい母親になっていただろう。僕は本当に、ほれ込んでしまったんだ。こんなの正気じゃないとわ
かっているけど、彼女と出会ったことは理解を越えた一撃だった。そして、僕はすばやく行動した。

僕が心臓発作を起こしてから二二年たつが、一三年前にはバイパス手術も受けている。だから、第三者
的に見れば、僕にはたしかに命がけの部分があるよ。それに、わずか数カ月前には、ペースメーカーを埋
め込んでいるのに、脳に十分な酸素が行き渡らなくて、めまいがした。僕の心臓が持ちこたえられるよう、
一緒に祈ってくれるかい。心臓を支える血管にあまりにも多くの塞栓ができているから、僕を患者に選ん
でくれそうな外科医はいないと思うんだ。

つき合い始めたばかりのころ、僕の心臓にはいくつか問題点がある、という話はクリスティーンにした
よ。彼女には明確に知らせておく必要があった。


出典元:

結婚生活がそんなに長続きしたのはなぜか

夏休みにハイスクールで戯曲「外海行き」
をやることになり、私の弟がディックの孫の役を演じて、彼のひざの上に座ったの。私はまだ髪をおさげ
にしていて、口紅もつけていなかった。初めて彼を見たときのことを、いまでもはっきり覚えているわ。
彼はハイスクールの最上級生で、私が新入生だった。ハイスクールの上級生の男の子ほど、新入生の女の
子にとってセクシーで、世慣れた重要人物に思える相手はいないでしょう?いまの私には、クリントン
大統領だって、ハイスクールの新入生だったときに出会ったディックほど、重要人物には見えないわ。

それで知り合った最初のころから、ディックは自分より頭がいいのだから、彼にふさわしい人間にな
らなきゃ、と思ってたの。結婚生活を続けるうちに、少なくとも自分が彼にふさわしい人間であることは
わかったわ。それ以上ではないことも、ときにはあったけれど。私たちは競い合うのではなく、お互いの
意見を注意深く聞き、尊亜しながら一緒に暮らしたl尊重というのは、とても大切な要素ね。相手を愛
すると同時に、騨亜することが必要なの。私のいう尊亜とは、相手の意見や考え方を引っくるめたもの全
体に大きな関心を寄せ、決して相手を軽んじたり、攻撃したりしない、という意味よ。

ディックと結婚して一番苦労したのは、彼に感情を表現させることだった。考えてもみて、この世代の
男の人っていうのは、感情や気持ちを断ち切ってしまっていたんだから。そういう面を機能させるのが、
結婚生活の中で一番手を焼いた部分だったわ。結婚するときには、一学期Ⅱ結婚生活を機能させる方法、
といった講義要綱なんてないんだもの。私たちが結婚したのは、私が二一歳、ディックは結婚式前日に二
四歳になったばかりと、お互いすごく若いときだった。みんなそういう年齢で結婚したのよ。いまから思
うと、私は子供だったわ。いえ、ふたりとも子供だったのよ・

参考:結婚相談所 選び方